【介護職を目指す方へ】ホワイト企業の選び方
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介護士になろう、なりたいと思ったときは、できるだけホワイト企業に努めたいと思う方も多いはずです。最近ではブラック企業と呼ばれる会社もたくさん紛れ込んでいます。ブラックとホワイトの境目は、どのようなものがあるのでしょうか。ホワイト企業の選び方を紹介していくので、参考にしてみてください。
ホワイト企業を選ぶ4つのポイント
ホワイト企業を選ぶうえでポイントとなるのは、「キャリアアップ」、「やりがい」、「働きやすさ」、「福利厚生」の4つ。介護士の職場を探すときは、この4つに注目してみましょう。
キャリアアップしやすいか
注目すべきは、その会社がキャリアアップしやすい環境かどうか。そのひとつの目安が研修で、研修が充実していれば、職員のキャリアアップを考えてくれている企業であることがうかがえます。未経験から介護の仕事をはじめるうえでも研修が充実していれば、知識やスキルをつけやすいですし、資格取得のサポートもあればなお良いでしょう。
やりがいを感じられる職場か
やりがいを感じられる職場かどうかの見極めは、その会社の生の声を聴くことが大事。モチベーションややりがいは、その企業の理念がしっかりしているかがひとつの決め手になっていて、「利用者さんのため」「職員のため」「介護業界のため」を常に考えて動いている企業なら、やりがいも実感できるはずです。
働きやすいか
働きやすさの指標は、本部が現場の声を聞き入れ、新しい制度や働き方を導入してくれるかどうか。数値としては離職率・定着率が働きやすさの大きな目安で、それらの数値が高いほど働きづらい環境であると言えます。
人間関係や給与、休みなど職場を探すうえで重視するものはさまざまでしょう。見極めはしっかりと行ないましょう。
福利厚生が充実しているか
介護職で働いている人の不満としてよく挙がるのが、給与や福利厚生面。実際、ブラックと呼ばれる介護系の企業では仕事がつらい割にお給料が少ないということもよく聞きます。育休や時短勤務などがとりやすい環境かどうかも、注目すべきポイントです。
どの介護施設が働きやすい?施設別の特徴まとめ
「人の生活を支える」という点ではどの介護施設も変わりませんが、給料や働き方などはそれぞれ違う部分もあります。ここでは、主要な介護施設の給料・特徴などをまとめました。
参照元:介護のお仕事研究所(https://fukushi-job.jp/lab/archives/2445)
特別養護老人ホーム(通称:特養)で働く
特別養護老人ホームの給与相場は、平均で月17.40万円です。施設の利用者は、身体や精神の障害により介護が必要で、在宅での介護が難しい高齢の方々。施設に入居してもらい、身の回りの世話などの介護サービスを提供します。要介護3以上の高齢者を対象にしており、社会福祉法人が運営する施設です。
特別養護老人ホームの働きやすさとしては、常駐の看護師が勤務しているため、日中の医療面で頼りにできるという点。ほとんどの入居者が「終の住処」として利用するため、長期での健康管理が可能というメリットがあります。日中のフルタイムだけでなく、夜勤や早出・遅出のスタッフも必要なため、多くの特養ではシフト制が採用されています。そのため、自分の希望の時間帯を選択しやすいでしょう。
一方で介護度の高い利用者が多いため、施設で働く介護スタッフの体の負担が大きいことと、入居者へのケアが機械的になりやすいことなどがデメリットになっています。
入居者への介護とは別に委員会の仕事やケアプランの作成などの作業もあるため業務範囲が広く、ハードスケジュールになるケースも。施設内での報告・連携と、自己管理の徹底が重要です。
介護老人保健施設(通称:老健)で働く
介護老人保健施設の給与相場は、平均で月17.12万円です。介護老人保健施設は、病院と在宅介護の中間的な役割を持っている施設。入院の必要はないものの、まだ自宅で日常生活を送ることが難しい方々が身体機能の向上・維持を目的に利用します。施設には理学療法士や作業療法士が在籍。利用者へのリハビリ・介護・看護を行い、利用者が自宅で生活できるまでサポートします。
入居者のリハビリの効果を感じることが、やりがいに繋がります。また医師や看護師などと連携体制で仕事が進められるため仕事をスムーズに進めやすい点もメリットのひとつです。
ただ介護老人保健施設を運営する組織は半数以上が医療法人であり、医師の発言権が高い一方で介護職の発言権が低い傾向にあります。自立や在宅復帰を目標に一貫したサービスを行うので業務に制限がかかる場合があり、戸惑いを覚えることもあるでしょう。
介護付有料老人ホーム(通称:有料)で働く
介護付有料老人ホームでの給与相場は、平均で月18.74万円です。施設によって入居者の利用条件が異なり、「健康型」「介護付き」「住宅型」の3種類に分けられています。要介護から要支援まで、利用者の要介護度の幅が広いのも特徴的。多くの施設は民間企業が運営しているため、サービス内容も多種多様で、利用者の細かいニーズに対応できます。
メリットは手当や教育制度が整っている施設が多く、スキルアップが期待できること。一方で有料という特性上、利益を重視する施設や営業的側面が強い施設も多いようです。また利用者にとっては、高い利用料を支払うことから、施設での待遇の良さが重視される傾向にあります。
介護付有料老人ホームは宿泊型の施設のため、夜勤もあります。施設によっては、早出や遅出などのシフト制を導入している場合も。小規模の施設が多いので、移乗介助やおむつ交換などによる肉体的な負担は少ないでしょう。
デイサービス・デイケアサービス(通所介護)で働く
デイサービス・デイケアサービスでの給与相場は、平均で月18万円です。自宅で生活する高齢者が要支援・要介護者の対象となっている場合に、食事や入浴、レクリエーション、機能訓練などのサポートを行うのが介護士の仕事。基本は日帰りのサービスですが、介護保険が適用されない、宿泊サービスを行っている事業所も増えています。
通常は夜勤がなく、日曜、年末年始などの休暇体制を整えている事業所がほとんど。宿泊サービスを実施している事業所では、夜勤があります。
レクリエーションを中心に行っている事業所では、企画力はもちろんのこと、場を盛り上げる素質も求められます。
日中に行うサービスで曜日も固定で利用されるため、利用者一人ひとりの状況を把握することは難しいかもしれません。
グループホーム(認知症対応型生活介護)で働く
グループホームの給与相場は、平均で月17.91万円です。グループホームは、軽度の認知症を持つ高齢者が少人数の利用者と共同で生活するための施設で、地域社会における高齢者同士の自立支援を目的としています。
利用者の人数は、ひとつの施設につき2ユニットまで。1ユニットは9人までと少人数のため、一人ひとりに手厚いサポートを行えます。また家族のようなアットホームな雰囲気の中で、入居者の支援が可能です。
ただし施設には調理師や栄養士がいないため、介護士による家事支援が必要になります。
グループホームは宿泊型の施設になるので、夜勤があります。介護スタッフの人員が少ないため、夜勤は1人体制という施設がほとんど。入居者とはもちろんのこと、スタッフ同士とも関係が濃くなりやすいことがデメリットになる場合もあります。
サービス付高齢者住宅(サ高住)で働く
サービス付高齢者住宅(サ高住、サ付とも呼ばれる)での給与相場は、平均で月18.84万円です。サービス付高齢者住宅は、夫婦や単身の高齢者が利用できる住宅型施設。施設内は完全にバリアフリーとなっており、日中は、ケアマネージャーや介護福祉士などが常駐することが義務付けられています。
サービス付高齢者住宅では、生活相談・安否確認のサービスを提供することが前提となっています。介護が必要な場合には、訪問介護として介護サービスを提供。一般的に訪問介護事業所は同じ敷地内に併設されており、移動はスムーズに行えます。認知症患者や寝たきりの方の入居を制限して軽度の介護を必要とする方を対象とする施設も多く、スタッフの体の負担が少ないタイプの介護施設です。
ただ医師や看護師が派遣されない場合が多いため、医療的なケアも迅速に対応するのが難しいのはデメリットかもしれません。また利用者にとっては事業所が近くて便利なぶん、要望が多くなって業務に支障が出る場合もあります。
訪問介護で働く
訪問介護の給与相場は、平均で月18.65万円です。利用者の居宅で、身体介護や家事などを行うのが介護士の仕事。
訪問介護員は原則1人となっており、利用者とマンツーマンで向き合い、じっくり介護を提供できることがメリットといえます。そのため、訪問介護士には経験が豊富であることと、判断力があることも重要。
非常勤で勤務する場合は、融通が効きやすいことから、働きやすさを感じる方もいます。
ただ利用者の居宅をひとりで訪問するため、介護が自己流になりがち。また、正社員を採用する事業所が少ないことがデメリットにあげられます。
病院で働く
看護師の補助や、シーツ・おむつ交換、食事・排泄・入浴などの介助が介護士の主な仕事になります。
病院介護のメリットは、医療や医療関係者に触れる機会が多く、知識が増えること。介護とは別の視点から認知症などの患者さんへの対処方法を学ぶ機会が多いでしょう。また医師や看護師の指示に従って動くため、介護士の負担や責任が軽くなり、精神的にゆとりを持って働けます。介護施設より移乗が少ないので、身体的な負担も少ないでしょう。
ただ医療が主体である病院では、介護職員は指示されることがほとんど。自由に動きづらく、仕事内容がマンネリになりやすい・介護職員としてのスキルアップがしにくいなどのデメリットもあります。
介護施設のホワイト化に向けた動き
厚労省「働きやすい職場」認定制度を開始
介護業界の人材不足を解消する対策の一つとして、厚生労働省は2019年度より「介護事業所の認証評価制度」を開始。人材育成や働きやすい職場づくりを積極的に取り組む事業者に対して、評価・認定する制度です。
この認証評価制度は、介護の仕事につきまとう「きつい上に低賃金」というイメージを一掃し、職場を選ぶ際の目安や介護職員の離職率を減らすことを目的としています。
「介護事業所の認証評価制度」は、全都道府県のうち2019年4月1日時点で26都道府県にとどまっているのが現状です。制度の導入をさらに進めるべく、厚生労働省は新たにガイドラインを作成し、取り組みを推進しています。
47都道府県のうち、制度を導入している26都道府県は、青森、宮城、秋田、栃木、群馬、埼玉、東京、神奈川、新潟、石川、福井、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀、京都、奈良、鳥取、岡山、広島、山口、高知、佐賀、長崎です。
なお「介護事業所の認証評価制度」は、各都道府県が行い、民間団体への委託も可能。公益社団法人などの福祉関係の団体が委託先にあげられています。
また制度の導入を「検討中」としている都道府県の中には、開始時期の目処が立っていない場合も多く、「実施予定なし」としている都道府県も目立っています。
この制度の実施によって、介護人材の必要数を補填できるのか、今後の動きに注目したいところです。
段階認証で介護事業所が取り組みやすい体制に
「介護事業所の認証評価制度」は、「きょうと福祉人材育成認証制度」を土台に策定されたものです。
制度の認証は3段階で実施されており、人材育成に取り組む意思表示をした場合は「宣言事業所」、認証基準を満たした場合は「認証事業所」、認定を受けた後、さらに高度な取り組みを目指す場合は「上位認証事業所」として認定されます。
京都府の導入事例では、この3つのステップを「ホップ・ステップ・ジャンプ」と名付けました。段階に合わせて、専門家によるアドバイスや人材確保・育成機会の提供などを実施し、事業所の取り組みをサポートしています。
栃木県の事例では、認証制度への参加宣言を行った事業所には「1つ星」、評価基準の4分野のうち2〜3分野をクリアした事業所には2つ星、評価基準を全てクリアした事業所には「3つ星」を設定しています。
以上のように、都道府県別にレベルやグレードを設定し、介護事業所の取り組みをサポートする仕組みがつくられているようです。
これから転職を考えている方は、働きやすい事業所であることを示す、「認証事業所」以上の認定を受けている事業所を、ぜひチェックしてみてください。