介護の仕事内容って?施設別に調査しました
このカテゴリーでは、特別養護老人ホームから看護小規模多機能型居宅介護まで、7種類の介護施設について仕事内容や代表的なタイムスケジュールなどを紹介しています。
特別養護老人ホーム(従来型)
特別養護老人ホームは公的な介護施設の代表的なもの。特養とも呼ばれ、入居待ちが常態化するなど社会的ニーズの高い施設といえます。
従来型と区分されるのは文字どおりスタンダードなタイプの特養で、20人の入居者を2人のスタッフでケアするなどグループケアが主体となります。介護業界未経験者でもトライしやすい傾向があります。
メリット
- 日中は看護師が常駐しているため、被介護者における医療面のケアが安心
- 長期入所者が多いため、個別のケアのやり方に慣れてくる
- 経営主体が地方自治体または社会福祉法人となるため、倒産リスクが低い
デメリット
- 要介護の度合いの高い入所者が多いため、介護者の負担が大きくなることがある
- 長期入所者が多いため、ケアの方法が画一的になり、ルーティーンワーク化する
- 夜間に看護師が不在になることもあるため、医療体制での不安がある
■給与相場:174,000円
特別養護老人ホーム(ユニット型)
従来型と比べて個別ケアを重視するという、時代背景に合わせて2006年に誕生したのがユニット型と呼ばれる特養。入居者とスタッフはマンツーマンでの対応となるのが基本で、お互いの信頼関係を深めたり、利用者の満足度を高めたりすることにより、スタッフとしてもより大きな達成感を得られることもあるでしょう。
メリット
- 従来型の特養に比べ、より個別で密なケアができるようになる
- 日中は看護師が常駐しているため、医療面での不安が少ない
- 長期入所者が多いため、ケア方法に慣れてくる
- 経営主体が地方自治体等のため、倒産のリスクが低い
デメリット
- 要介護状態の高い入所者が多いため、介護者の負担が大きくなることがある
- 特定の被介護者の個別ケアが中心となるため、仕事がルーティーン化する
- 夜間は看護師不在の施設も多いため、医療面での不安がある
■給与相場:174,000円
介護老人保健施設
介護老人保健施設の提供サービスは医療ケアやリハビリがメイン。利用者も自立した日常生活に戻ることを基本としていて、回復に尽力することがスタッフのモチベーションにもなります。そのぶん、特養などホームと呼ばれる施設に比べて利用者の入退所頻度が高く、管理・把握しなければならない情報量は多めになるでしょう。
メリット
- 要介護状態の低い入所者も多いため、老健に比べると介護職の負担は低め
- リハビリの成果で退所できるようになる入所者も多く、仕事にやりがいを感じる
デメリット
- 運営主体の大半が医療法人なので、医療職からの発言力が高く、介護者は戸惑うこともある
- ひたすら介護者の自立や在宅ケアを目指す施設なので、介護職として違和感を覚えることもある
■給与相場:171,200円
グループホーム
認知症高齢者同士の共同生活をサポートするのがグループホームという施設。家庭的雰囲気の職場で、スタッフはマンツーマン対応することもあり、利用者とスタッフの距離感が近くなります。
日々の業務でも、食事や入浴だけでなく、レクリエーションが充実していて、利用者とスタッフが楽しみを共有する時間が多いのも特徴です。
メリット
- 一般に施設は小規模で入所者の人数が少なく、目の行き届いた介護ができる
- 入所者との距離が近いため、互いの信頼関係を築きやすい
デメリット
- 介護のみならず、食事などの家事全般をケアしなければならない
- 入所者の人数が少ないため、夜勤では一人体制になることもある
■給与相場:179,100円
ケアハウス
訪問介護事業所の併設やデイサービスの併設など、事業所によって特色に違いがあるため、スタッフも勤務形態は勤める組織とその体制などによって変わってきます。ただし、全般的な傾向としてケアハウスは他の介護施設よりも介護度合いの低い入居者が多いこともあり、残業が少ない事業所が多いともいわれています。
メリット
- 一般型ケアハウスの場合、要介護状態の低い利用者が多いため、介護者の負担は軽減される
- 一般に残業が少ない施設とされている
- 夜勤専属など、働き方の自由度が高めとされている
デメリット
■給与相場:180,000円
デイサービス
特養やグループホームを併設している事業所もありますが、デイサービスの業務は基本デイタイムで、スタッフの生活サイクルは一般企業と変わらないものとなります。
利用者は介護度合いが軽めのケースが多く、リハビリやレクリエーションがメイン業務。その分、サービス業としての接客品質の高さが求められる傾向もあります。
メリット
- 通常は夜勤や残業がないので、体への負担が少なめ
- 日曜日や年末年始などは休みとなる事業所が多い
- レクレーションなど、通所者と一緒に楽しめる仕事が多い
デメリット
- 多くの通所者を前にしてレクレーション等を先導しなければならないため、人前に出ることが苦手な人には不向き
- 他の介護業態に比べ、倒産リスクが高いとされている
■給与相場:180,000円
看護小規模多機能型居宅介護
介護業界の中でも後発で、デイサービスと訪問介護、ショートステイを一体化した介護保険サービス施設。介護スタッフと看護師が在籍していて、サービスは24時間365日フルタイム対応と、社会のニーズに合わせて生まれた新しい施設です。
なお、スタッフが同時に受け持つ利用者上限は決まっていて、業務負荷が大きいわけではありません。
メリット
- 単一の施設内で、デイや訪問、ショートなどのさまざまなケアの経験を積むことができる
- 看護師やケアマネなどの専門家が勤務していることも多く、医療面・介護面における介護者の不安が低い
デメリット
- 24時間稼働する施設のため、夜勤がある
- ケア当日の利用者の予定に合わせ、介護者は柔軟に対応することが求められる
■給与相場:173,400円
訪問介護
介護者が1人で利用者の自宅を訪れてサービスを提供するため、自分の裁量で仕事をすることができますが責任の重い仕事になります。一方で、職場の人間関係に悩むことは施設介護に比べて少ないため、人間関係に不安を感じている方に向いている職業になります。
介護職の多い悩みを避ける職場の選び方
- 夜勤が多くて体力がついていかない
- 仕事は楽しいが手取り額が少ない
- 利用者さんの要望や感情に振り回されて、仕事の楽しさが分からない
などといった声が、介護職の悩みとして多くあげられます。 このような悩みに陥らないための職場の選び方をまとめました。
リアルな職場を知るために情報を集める
求人票や職場のホームページのサイトの情報だけを鵜吞みにしいると、働きはじめてから「イメージと違う!」と思う可能性が高くなります。
「利用者とのふれあいが少ない」「休みが取りづらい」などの不満が出ないためにも、職場見学やスタッフからの評判など、様々な方向から情報を得て、就職先のことをきちんと調べましょう。
給料や福利厚生の内容をきちんと把握する
介護職の離職理由として上位にあげられるのが「給料・待遇に不満」という点。
面接の際に、求人票に書いていない、細かい部分の情報を確認するのをオススメします。お金に関する質問は聞きづらいと思いますが、長く働きたいなら大事なことです。ボーナスの支給金額や福利厚生の内容など、自分が気になる重要ポイントは、事前に確認しましょう。
働く理由を明確にもつ
「給料がいいから」「通いやすいから」といった安易な理由で職場を決めるのはオススメできません。
長く働くためにも、自分が一番重要にしていることは何かを明確にしておくのが大事です。例えば「給料も大事だが、自分のために時間確保は必要」「いろんな人の触れ合いたい」といった軸があれば、自分にとって最適な職場がどこか、自信をもって決断できるのではないでしょうか。