介護業界の将来性は?
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このカテゴリーでは、介護業界の将来性を紐解いていきます。
介護業界に将来性はある?ない?
2010年をピークに日本の人口は減少している一方、75歳以上の高齢者数は、急速に増加しています。2010年には1,419万人だった75歳以上の人口が、2025年には1.5倍の2,179万人に。2060年には全体の26.9%が75歳以上になると試算されています。
介護サービスを受けている人に限っても、2012年時点で445万人。10年近くで200%増しており、今後も増え続けるのは間違いありません。
引用元:介護求人パーク(https://5159289.jp/contents/kaigo/service/potential/)
就職・転職に有利な状況はまだ続くのか?
他の業界に比べて、就職・転職に有利とされる介護業界ですが、この状況はまだまだ続きそうです。
少子高齢化が解消しない以上、売り手市場は続く見通し
すでに説明したように、現在はもとより、今後も日本の高齢化社会は進行していくことが明らかです。高齢化社会が進めば進むほど介護ニーズが高まることは、容易に想像ができるでしょう。
その一方で、高齢者を介護すべき若い労働層は減少の一途をたどっています。需要に対して供給が追い付いていない状況なので、介護職が就職・転職に困るということは、当面、想定しがたいと言えます。
「仕事がない」という状況は想定しにくい
介護業界は、電力業界や鉄道業界などと同様に「景気に左右されにくい業種」で知られています。
たとえば、景気が悪化して給与が下がったとしても、電気を解約したり電車に乗らなくなったりする人は、ほとんどいないでしょう。それと同じように、たとえ景気が悪化したとしても、介護を解約する人はほとんどいません。
施設によって給与や待遇は変わることはあるものの、介護職は「仕事がない」という状況になりにくい業種と言えるでしょう。
他の業界との比較
参考までに、他の業種と比べた場合の介護職の有効求人倍率を確認してみましょう。
なお有効求人倍率とは、求職者の数に対する求人の数の比率のこと。「1」であれば求職と求人の数が同じことを指し、「2」であれば求職者1人に対して求人が2件あることを指します。数字が大きければ大きいほど就職・転職に有利、ということです。
平成16年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | 平成20年度 | |
---|---|---|---|---|---|
介護関係 | 1.14 |
1.47 |
1.74 |
2.10 |
2.20 |
全職種 | 0.83 |
0.94 |
1.02 |
0.97 |
0.73 |
平成21年度 | 平成22年度 | 平成23年度 | 平成24年度 | 平成25年度 | 平成26年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
介護関係 | 1.33 |
1.38 |
1.65 |
1.73 |
1.91 |
2.04 |
全職種 | 0.42 |
0.51 |
0.62 |
0.74 |
0.87 |
0.90 |
年度によって違いはあるものの、介護業界の有効求人倍率は、他の業界のそれに比べて1.5~3倍程度の数字で推移しています。
出典:厚生労働省「介護労働の現状」 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000071241.pdf
全国各地で必要とされる職種
福祉系の求人募集が閲覧できる「福祉人材センター」が、全国各地に設置されています。また、同センターで行われる「合同求人説明会」に参加する施設や事業所も、増加傾向に。介護の人材育成は国をあげての取り組みのため、介護職に就く人への体制は、今後ますます整っていくと考えられます。
また介護の仕事は、都心や地方など地域性を問わず、高齢者が暮らしているところであれば、どこにでも募集があります。IターンやUターン、Jターン転職なども可能です。
万が一現在働いている施設・事業所が倒産や撤退に陥ったとしても、介護士の仕事はすぐに見つかるでしょう。
未経験者の採用・研修に力をいれている施設多数!
介護施設・事業所によっては、福祉専門の教育機関を設けているところがあります。
未経験で就職した場合でも、研修制度が用意されていたり、資格取得の支援制度が実施されていたり、体制が整っている施設も増えています。
自分の努力次第でキャリアップを図りやすい業界
他の一般的な業種に比べ、介護業界はキャリアアップを図りやすい業界・業種と言われています。
たとえば営業職の場合、安定的に数字を稼げないことには、キャリアアップを望むことができません。数字を稼げる営業マンになるためには、場数を踏んで経験を積むこと以外に、方法がないでしょう。場合によっては、永遠にキャリアアップを実現できない可能性もあります。
それに対して介護職は、本人の努力次第で資格を取得することができます。この資格に応じ、相応の仕事を割り振られることが基本です。
たとえ未経験で入社したとしても、仕事のかたわらで介護士の資格を取得すれば、その時点から相応の仕事を与えられることになります。給与もベースアップすることでしょう。
その後3年間にわたって介護職を続けると、介護福祉士の受験資格を与えられます。試験に合格すれば、さらに仕事の幅も給与も上がります。
介護福祉士として5年のキャリアを積んだ暁には、介護支援専門員(ケアマネージャー)の受験資格を取得。介護支援専門員とは、言わば介護業界における最高峰の資格です。試験に合格すれば、介護業界のエリートとして闊歩することができます。
以上のように、介護職は、本人の頑張り次第で確実なキャリアアップを図れる業界。いくら努力をしてもキャリアアップを図れない人がいる他の業種に比べ、人生設計をイメージしやすい業種と言うことができるでしょう。
政府が考える介護業界への対策
現在、人手不足と言われている介護業界。さらに高齢者が増えると考えられる日本では、人材の確保が必要になると考えられています。
政府が行なっている人材確保の対応は、介護職員を募集している企業と介護業界で働きたい人のマッチングをしやすくすることに加え、介護に関する知識の向上のためにセミナー開催を促進したり、キャリアアップのための支援も行なったりしています。
介護業界の職場環境の改善によって、介護の仕事に対するイメージを向上させるのが、大きな狙い。賃金や働きやすさなど、介護にはあまり良くないイメージを持ってしまっている方も多いなか、キャリアアップやしっかりとした環境をアピールしていくことが人材確保に繋がるはず。各地域とも連携し、人材を介護業界へ流入するところから、キャリアアップ、賃金などの環境面でも介護職への取り組みを行なっています。
介護人材確保対策とは
介護人材確保対策は、2025年に向けて、介護職の人材を質と人数の両方から確保するために国が決めた取り組みです。
平成30年5月、都道府県が第7期介護保険事業計画における介護サービス見込み量などをもとに、介護人材の需要を推計。2020年度末に確保しなければならない介護人材数は約216万人で、2025年度末には約245万人まで需要が高まることが予想されています。
2016年度の介護職員総数が約190万人であったのに対し、2020年には約26万人、2025年にはさらに約55万人の人材を確保しなければなりません。2025年まで、毎年6万人ほどの人材を確保する計算になります。以上のことから、介護業界の需要度は今後もますます増える傾向にあり、確かな将来性があるといえるでしょう。
厚生労働省では、介護業界に興味のある介護未経験者を積極的に確保するため、介護の基本知識を学ぶ「入門的研修」を実施しています。研修の目的は、介護についてより多くの人に知ってもらい、介護の仕事に対する不安を払拭してもらうこと。そのほか介護人材の育成に取り組む事業者に対して認証評価制度が設けられるなど、多方面から介護従事者の確保に向けた取り組みが実施されています。
出典:厚生労働省「介護人材確保に向けた取り組み」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02977.html
改正入国管理法が成立
2018年12月8日、参議院本会議で改正入国管理法が可決、成立しました。改正入国管理法の趣旨は、国内における深刻な人手不足問題を解消するため、一定の条件のもと、海外からの人材を広く受け入れるというもの。
具体的には、2019年度から2023年度までの間に、約5~6万人の外国人を受け入れる、という内容です。 もともと、働くことを目的とした外国人の在留資格は、研究者などの高度な専門職の分野に限られていました。しかしながら今回の法改正により、職種の分野が拡大。人手不足が著しい介護業界にも外国人の門戸が広げられる予定です。
改正入国管理法と外国人の介護人材
介護職に就業することを目的として在留資格を得た外国人は、基本的に5年間の在留が認められます。原則として、家族の帯同は認められません。 「外国人技能実習」とつなげることも可能なので、理論上、最長で10年間の日本在留が認められる形です。
なお、在留中に介護福祉士の資格を取得した外国人について、厚生労働省は「在留資格を繰り返し更新できる」「家族の帯同も許可する」等の措置も認める方針です。
介護現場からの声
改正入国管理法について、介護現場からは「介護ではコミュニケーション能力が重要となるため、ある程度日本語を話せる人材であることが必須」という声が聞かれます。一方、「あまりハードルが高いと介護職を希望する外国人がいなくなる」との声も上がっています。
ベテラン介護職の賃上げへ
2018年11月22日、厚生労働省は、ベテラン介護職を中心とした賃上げを趣旨とする新たな「介護職員処遇改善加算」制度について、既存の「介護職員処遇改善加算」を取得している事業者を対象とする旨を大筋で決めました。
そもそも「介護職員処遇改善加算」制度とは
「介護職員処遇改善加算」制度とは、介護職に就く事業者に対し、一定の条件のもと、国が補助金を支給する制度のこと。支給された補助金は、職員の賃上げ以外を目的に使うことはできません。
支給対象は、労働環境の改善や介護職員のキャリアアップに努力している事業者。努力のレベルに応じ、上から順に「加算Ⅰ」「加算Ⅱ」「加算Ⅲ」「加算Ⅳ」「加算Ⅴ」の5段階で評価され、事業者は評価に応じた補助金を受給することができます。
現状、上記のような「介護職員処遇改善加算」制度ですが、厚生労働省は、さらにベテラン介護職を中心に新たな「加算」を設けるべく、2018年11月現在、さまざまな議論を重ねている最中です。
新たな「加算」を受けるための要件
新たな「加算」を受けるための要件は、2018年11月現在、決まっていません。厚労省の会合では、「すでに加算Ⅲ以上を取得している事業者を対象とすべき」「加算Ⅰを取得している事業者のみを対象とすべき」等、さまざまな議論があります。
厚労省としては、あまり厳しく対象事業者を絞り込むことを望んではいません。議論の折衷案として「加算Ⅲ以上の事業者」を要件とすることで、今後の議論を調整していく構えです。
加算率はベテラン職員の人数に比例
現行の「介護職員処遇改善加算」制度は、「加算Ⅰ」等の評価基準に応じ、補助金の加算率が決まっています。それに対し、現在検討されている新たな「加算」制度は、事業者の状況に応じて加算率を変動させる方向で議論が進められています。
加算率を決めるのは、その事業者におけるベテラン介護士の在籍数。長く働いている介護職員が多ければ多いほど、その事業者は労働環境の改善に努力している、との考え方が背景にあるようです。
介護職員等特定処遇改善加算は勤続10年以下でも対象になる!?
介護業界は今や社会的な人材不足問題に、国をあげて取り組んでいる状況です。賃金不足が人材不足の要因の一つとなっていることから、人材確保のための新たな対策として2019年10月から「介護職員等特定処遇改善加算」が開始されました。
介護職員等特定処遇改善加算は、経験や能力のある介護職員に対する処遇改善の方針として、従来の加算措置に追加して行われる措置です。事業所が都道府県に処遇改善加算の申請を行うことでお金が支給され、手当として介護職員に配分される仕組みになっています。
賃金配分とは、事業所内で経歴が長く能力のある介護福祉士を少なくとも1人以上選び、給与を年収440万円以上に昇給。あるいは、月8万円以上の賃金を支給するという規則です。決められた要件を満たすことで申請できるため、必ずしも勤続10年以上の介護福祉士である必要はありません。
介護職員等特定処遇改善加算は、「新加算I」と「新加算II」に区分けされており、「新加算I」の方が加算率は高くなっています。「新加算I」は、サービス提供体制強化加算等の最上位の区分にあたるため、ほとんどの事業所では「新加算II」の対象になります。
未経験から介護の仕事をはじめた場合の将来性
介護士は、「キャリアアップ」の点から考えると有利な職業です。
飲食店や作業員など、経験から得たスキルが頼りの仕事と違い、介護士は実務経験を積むことで、国家資格や公的資格へ挑戦が可能に。専門性を高めるために、より上位の資格を目指せます。当然、資格を取れば給与アップにつながります。
無資格・未経験で介護士の職についた場合、仕事をしながら「介護職員初任者研修」の資格が取得可能。施設によって異なりますが、研修修了後に利用者の身体介護が可能になるため、資格手当てによる給料アップも見込めます。
さらに、3年以上の実務経験を積んで「実務者研修」を修了すると、「介護福祉士」の資格取得を目指せます。介護福祉士は国家資格のため、介護のプロとして日本中で活躍できる職種です。介護福祉士の資格を持っていることで自信につながり、転職時にも給料面で優遇されることも。介護福祉士に限定して求人募集をしている施設や事業所も多く、活動領域も広がるでしょう。
介護福祉士の資格取得後は、「ケアマネージャー」へのキャリアアップを望む方も多いようです。また介護福祉士の経験を活かし、「社会福祉士」の資格取得後に「生活相談員」や「医療ソーシャルワーカー」として活躍する道もあります。
幅広い知識を持つ介護士は専門性の高い仕事であり、誰にでもできる仕事ではありません。また経験や学歴などを問わず、やる気次第で着実にキャリアアップできる職業でもあります。今後、さらに需要が高まっていく介護士は、非常に将来性のある仕事といえます。
現場で求められている介護の専門スキル
介護士の仕事のうち、生活援助については、それほど高い専門知識や技術は必要ないとみられており、「介護人材の類型化・機能分化に関する調査研究事業」の報告を受け、厚生労働省がヘルパーの基準を緩める動きもあります。
対して高い専門性が必要とされる業務には、介護計画の作成・見直しなどの「介護計画関連」、外部からの情報収集や地域・自治体ケア提案などの「情報連携」があります。
厚生労働省が推進する「地域包括ケアシステム」を背景に、今後さらに医療機関と円滑に連携がとれる能力や、利用者のためにより良い提案を行える幅広い知識、コミュニケーション能力の高い介護福祉士の需要が高まっていくことが明らかです。専門性が低いとされる生活援助の業務を、介護福祉士以外に割り振ろうという動きがある中で、介護福祉士に求められる業務はより高度な領域になると考えられます。
介護士として安定した将来性を確保したいと考えるなら、より高度な知識や技術を持つ介護福祉士を目指しましょう。
元気村のトップが考える
介護業界の将来性
介護の問題に真正面から向き合い、利用者様・職員双方のためにより良い環境の提供に努めている社会福祉法人元気村グループ。そのグループを束ねる理事長の神成氏に、介護の将来性についてご回答いただいきました。
元気村グループ(翔裕園)

(理事長)
将来性が非常に高い業界だと考えています。高齢化が加速度的に進む日本社会において、介護は社会課題のど真ん中にあり、元気村グループはその社会課題に対して正面から向き合っております。
また、従来のアナログのみの業界から、さまざまなテクノロジー、ICTなどを利用したスマートケアと、今までの心のこもった介護を組み合わせた「スマート&ハートフルケア」を実現できる環境も整ってきました。
海外、とくにアジアでも同じような高齢化が進んでいくことが、2025年に中国で、2035年には東南アジアで予想されておりますので、日本が他国に先んじて得た経験をモノではなくサービス、知識として輸出していくことができると考えております。そういった意味でも日本のみならず国際的にも活躍ができる業界、業種ではないでしょうか。
元気村グループ(翔裕園)について
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介護業界のさまざまな問題
社会保障財源の問題
少子高齢化にともない、介護、医療、年金など、いわゆる社会保障費用が急速に増加しています。高齢者に対して社会保障費用を支払うためには、当然ながら財源が必要。ところが現状、現役世代から納付されている保険料だけでは社会保障費を賄うことができず、国や地方自治体は借金を重ねているのが実態です。
1950年当時、高齢者人口と現役世代の人口の比率は約「1:12」。現役世代が12人で高齢者一人を支えれば良い時代でした。一方で2017年現在、高齢者人口と現役世代の品行比率は約「1:2」。実に、現役世代2人で高齢者1人を支えている格好です。
団塊ジュニア世代が後期高齢者となる2040年には、その比率がいよいよ「1:1」となります。この時代にいたっては、現役世代の経済的収入を頼りに高齢者を支えることは、実質的に不可能でしょう。
将来の社会保障費用の財源を確保するためには、現役世代の分母を増やすことが有効。分母を増やすための一手段として、先に解説した改正入国管理法の早急な成立が急務だった、という背景もあります。
介護難民問題
介護難民とは、介護が必要な状態であるにも関わらず、介護を受けられない人のこと。高齢者が増えていく一方で労働者の減少が進んでいる現状に鑑みて、将来、介護難民問題がより大きくなることは火を見るよりも明らかです。あるシンクタンクの調査によると、団塊世代が75歳以上になる2025年には、東京圏だけでも約13万人の介護難民が生じると予測されています。
特に深刻な介護難民問題が生じるとされている地域が東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、大阪など。これらエリアは、高齢者の人数が多い一方で介護施設を設ける用地や人材が不足しているなど、介護難民が大量に生まれるリスクが潜在しています。
自分が介護難民にならないようにするためには、要介護にならない段階で、地方都市への移住してしまうということも一つの方法。要介護状態にならないよう、健康に気を配った生活を送ることも大事です。
なお、地方都市への移住を検討する場合には、やみくもに転居先を探すのではなく、介護施設や病院などが充実した土地を選ぶようにししましょう。
2025年問題
人口の多い団塊世代が75歳以上の高齢者となるのが2025年。社会保障を必要とする人口が爆発的に増える一方で、少子化の影響で現役世代の人口が少なくなる時代なので、間違いなく、社会にはさまざまな問題が生じてきます。これらさまざまな問題を総称して、2025年問題と呼んでいます。
2025年問題の中でも特に懸念されているのが、年金の問題。年金を受給できる世代が増える中、人口も国力も衰退しつつある現役世代の経済活動のみで、これをすべて賄えるとは考えられません。有識者の中には、2025年以降、現行の年金制度を維持していくことは困難と指摘する人もいます。
年金のほかにも、医療の問題も深刻化することでしょう。2015年における医療保険の給付額は、総額で約39兆円ほどでした。これが2025年になると約48兆円にも膨らむと試算されています。現役世代の頑張りだけでは、到底埋められない差額です。加えて、すでに問題となっている医師不足も深刻化。医療サービスを受けたくても受けられない、という高齢者も続出することが懸念されます。
さらには、高齢者の数が増えることで、世の中には認知症の患者数も増大。現在「老老介護」が話題になることがありますが、2025年以降になると、夫婦ともに認知症を生じた「認認介護」が問題化するのでは、と指摘する声もあります。
介護業界の人材不足問題
2000年時点で約55万人だった介護職員の数は、その後、急速に増加。2016年時点では約190万人となりました。16年で約4倍の人数になった点だけ見れば、介護職員の数は順調に増えたかのようにも見えます。
しかしながら実情として、介護職員の数はまったく足りていません。現在でも人手不足が問題化しているほどなので、高齢化が進む将来は、ますます介護業界の人手不足が問題となることでしょう。ちなみに厚生労働省では、2025年時点における介護職員の数が約34万人不足する、と推計しています。
介護職員の増加を図り、厚生労働省は「勤続10年以上の介護福祉士に対し、月額平均で賃金を8万円加算する」との方針を打ち立てました。ただし、介護福祉士の平均勤続年数は約6年。「勤続10年以上」に該当する介護福祉士は少数である、との指摘もあります。
確実な人手不足が予測される介護業界ですが、介護士を目指す人にとってみれば、これはむしろ朗報となることでしょう。なぜなら人手不足とは、言い換えればニーズが高いということだからです。自分の資格やキャリアを活かし、より好条件の事業所を「選ぶ」ことができる時代が到来する、と考えても良いかも知れません。